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2019年7月28日日曜日

中国の国外亡命者への攻撃をテーマにしたBitter Winterの新作映画『竜の長い腕』

オンライン公開中のこの映画は、中国共産党が国外で直接、あるいは協力関係にある支持者を通していかに亡命者を脅し、難民認定の取得を妨げているかを描いている。


映画『竜の長い腕 – 宗教弾圧から逃れ、海外に逃亡した難民を苦しめる中国政府』のオリジナル英語バージョンをいよいよ当ウェブサイトで公開する。英語以外にもBitter Winterで発信している7言語の字幕を提供する。
映画の初公開は6月20日、映画と同タイトルのBitter Winter共催会議『竜の長い腕』会期中に韓国のソウルで行われた。

映画では、中国国内の宗教迫害によって亡命者が生み出された過程と、中国共産党 がいかにしてその長い腕を国外にも伸ばし、宗教を理由に亡命した人々が難民認定を受けるのを妨害し、あらゆる嫌がらせと暴力を加えて迫害しているのかを説明している。映画では亡命者が暗殺された可能性のある事例にも言及している。
加えて中国共産党の「同伴者」の活動も非難している。ソ連の時代にはどちらかと言えば冷たい目線を向けられながら活動していたいわゆる「使える間抜け」が中国の諜報機関、保安部と手を組み、さまざまな口実を作り上げては亡命者を迫害しているのだ。映画の中では、呉明玉(オ・ミュンオ)氏と韓国における彼女の反カルト、親中国共産党組織の活動を「同伴者」の事例として取り上げている。実際にそれは、民主主義国家で親中国のスパイが公道でデモを行って罪のない亡命者の中国送還を呼びかけるという極端な例だ。しかし、亡命者が中国に戻れば逮捕、拘束、拷問が待っている。不本意にも強制送還された難民認定申請者の事例がその事実を証明している。
Bitter Winerは、この映画が世界中の誠実な人々の良心に訴えかけることを望んでいる。『竜の長い腕』が伝えたいメッセージは至極簡潔だ。宗教迫害から逃れた人々を支援してほしい。亡命者たちはあなたの助けをまさに今、必要としている。



この文章はマッシモ・イントロヴィーニャ(Massimo Introvigne)《BITTER WINTER》からです。

2019年7月24日水曜日

中国共産党が再び全能神教会の難民の親族を韓国に送り込み、偽の抗議活動を演出

中国共産党は、韓国に亡命した全能神教会の信者の難民の中国在住の親族を再び苦しめている。同党は「信者を探す」ために7月22-24日の間に韓国に渡航し、連れ戻すよう誘った。しかし、難民が連行される場所は刑務所である。

国内外で迫害を受ける全能神教会

全能神教会 は、中国のキリスト教系 新興宗教団体 としては最大の規模を誇る。急激に信者を増やしたため、全能神教会は1995年に 邪教 に指定され、それ以降激しい弾圧に晒されてきた。全能神教会の信者は弾圧の対象であり、頻繁に逮捕や拷問を受けている。先日公表された米国国際宗教自由委員会(The U.S. Commission for International Religious Freedom)の2019年度版報告書によると、「2018年、中国政府は 全能神教会に所属する数千名の信者を苦しめ、逮捕したと指摘している。
2018年に拘束された者の多くは(全能神教会は数千人単位と推測している)拷問およびその他の虐待を受け、一部においては死亡、または、勾留中の不可解な行方不明に至った」という。2018年を対象とした2019年度版の国際信教の自由報告書は「全能神教会は、当局が2018年の1年間で1万1,111人の信者を逮捕したと報告した」と言及している。2位の 法輪功 の逮捕者は9,000人であった。さらに「全能神教会は、当局が数百人の信者に「拷問や強制的な教化」を実施したと報告した」と加えている。「全能神教会は全体で2018年の1年間で525人の信者が「拷問または強制的な教化」を受けたと報告している。また、同団体は、拘留施設で「拷問と虐待」を受けた後、流産した信者がいたことも明かしている。」
2019年6月20日、ソウルでBitter Winterが共催した会議「竜の長い腕」で明らかになったように、全能神教会への弾圧は海外でも行われており、難民たちは 中国共産党 の工作員と同党の「同伴者」による嫌がらせを受けている。その中でも特に評判が悪いのは、韓国人の反 カルト 主義者であり、親中国共産党の活動家である、呉明玉(オ・ミュンオ、오명옥)氏である。

再び家族が迷惑行為に晒される

2019年3月、中国東中央部の沿岸に位置する江蘇 省 で暮らす高齢の夫婦が、現地の治安維持局の職員から嫌がらせを受けたという。治安維持局の職員は報奨金を使って、夫婦に対し「息子を探す」ために韓国に行くよう誘った。しかし、夫婦はこの申し出を断った。この夫婦の息子は全能神教会の信者であり、中国共産党の逮捕から逃れるために海外に渡航していた。
一ヶ月後、治安維持局の職員は再び夫婦の下を訪れ、査証を申請し、一緒に韓国に渡航するよう要求した。また、職員は「これは国と党の決定であり、協力しなければならない」と脅した。このような圧力に晒された妻は「私は高齢であり、健康に不安があります。これ以上家に来ないで下さい」と懇願した。
頻繁な嫌がらせを受けた夫婦は不安を抱えながら生活しなければならなくなった。夫婦は、息子が中国に送還された場合、強制収容と残虐な暴行から免れることは難しいと危惧していた。
苦境に立たせていたのはこの老夫婦だけではない。今年の4月、Bitter Winterは中国中央部、河南省在住の既に定年退職した住民もまた「邪教」に対処する現地の警察部隊の隊員から「話し合いのために呼び出された」ことを掴んでいた。この住民の息子も全能神教会の信者であり、中国での弾圧を理由に韓国に渡航し、亡命を申請している。

でっち上げの「家族捜索隊」

この住民によると、警察は、政府により「家族捜索隊」が結成され、韓国に向かうことになったと住民に告げ、参加を求めた。また、警察は「家族捜索隊」の参加者は中国全域から集まっており、海外の渡航費は政府が支払うと明らかにした。しかし、参加者には「家族捜索隊」の主催者の取り決めと指令に完全に従わなければならないという条件が課されていた。主催者の素性に関しては、警察は何も情報を明かさなかったという。
また、この住民がBitter Winterに伝えたところによると、現地の反邪教部隊の隊員が、中国政府が積極的に韓国政府と交渉し、全能神教会の信者の強制送還を求める行為は適切ではないため、最初に韓国政府に圧力をかけ、「家族捜索隊」を結成し、家族に「何らかの行動を起こさせた」後、中国政府が介入すると話していたようだ。

繰り返される嫌がらせ

中国共産党は、海外に逃げた全能神教会の信者の家族を調査し、探してきた。そして、その一部に対し、海外に渡航し「家族を探す」ことを説得または強要する取り組みを試みてきた。2018年8月30日、河北省、湖南省、河南省、そして、吉林省から、全能神教会の信者の家族の11人が中国共産党の取り決めの下で韓国を訪れた。そして、呉明玉氏の指示を受け、青瓦台(韓国大統領の執務室・官邸)、温水の全能神教会及びその他の複数の場所で「親族を捜索」する名目の下で5日間にわたり抗議活動を実施した。
事実、全能神教会のキリスト教徒が亡命を求めて韓国に向かったのは、信仰が原因で中国共産党から弾圧を受けたためであり、逃亡を決断したのは本人であった。Bitter Winterの取材に応じた全能神教会の信者は、母と連絡を取り、韓国に来る際は直行便でソウルに向かい、空港で出迎えることが可能だと伝えた。しかし、母親はこの申し出を断り、別の誰かが既に旅行を手配したと話した。予想通り、母親は抗議活動者の一人として現れ、子供が全能神教会によって誘拐されたと泣き叫んでいた。世論に影響を与え、信者たちの亡命申請を阻止するために、中国共産党が家族を利用し、韓国で虚偽報道を作り出そうとしたことは明白だ。しかし、中国共産党の希望的観測は現実にはならず、この偽の抗議活動が原因で帰国した信者は皆無であり、茶番は失敗に終わった。詳細は、Bitter Winterが制作し、高い評価を得た映画『 The Hoax』で説明している。
屈辱的な失敗にも関わらず、中国共産党は、宗教弾圧により海外に逃亡した難民への嫌がらせを続けるだけでなく、再び同じ手法を、規模を拡大して強化している。呉氏が率いる新たな偽の自発的なデモが、2019年7月22-24日に予定されている。Bitter Winterが公開した、複数の中国共産党の機密文書によると、海外の全能神教会の発展を抑制及び制限する取り組みは、中国共産党にとって優先事項に指定されているようだ。河南省で全能神教会への組織的な取り締まりが行われたことを明らかにした、昨年発行された機密文書は、習近平 国家主席が国内外の全能神教会に対する運動に「強い関心を示して」おり、「国内の基盤を破壊し、海外での影響力を低下させる」目標を確実に達成するため、1年に渡る長期的な弾圧運動を要請したことを示唆している。

NGOの反応

2014年以降、中国共産党が招遠市のマクドナルドで起きた殺人事件で誤って全能神教会を非難して以来、同党は全能神教会への弾圧を強化してきた。この事件以降、5,000人以上の中国人の全能神教会の信者が海外へ逃亡した。同時期、全能神教会は韓国、米国、イタリア、フランス、スペイン、カナダ及びその他の国々で団体を設立し、信者を増やし続けてきた。また、中国で行われている弾圧を非難することができるほど力をつけ、中国共産党をパニックに陥れたのであった。その一方で、中国共産党による弾圧は海外に拡大し続けている。
13のNGOが、韓国の当局と世界の 人権 団体に対し、全能神教会の難民への弾圧に注目し、適切な行動を起こして、弾圧を阻止し、亡命申請者を保護することを求める書簡に署名した。NGOは「中国共産党の諜報員が民主主義国家の韓国で不正活動を行っているのは恥ずべき事実だ。
私たちは韓国当局に全能神教会信者の難民認定を要請する。彼らは中国に戻れば逮捕、拘束や拷問の被害に直面するからだ。そして、中国の諜報機関と韓国内の共犯者が韓国に暮らす亡命者に対して攻撃を続けないよう対応してもらいたい」と要求した。

この文章は『BITTER WINTER』からです 。  

2019年7月21日日曜日

韓国で続く反全能神教会の偽りのデモ:阻止を狙いハッカーがBitter Winterを攻撃


中国政府職員、雇われたヤンキー、反カルト主義者が偽の「自発的なデモ」を行い、難民を罵る一方で、ハッカー集団はBitter Winterのウェブサイトに大規模な攻撃を仕掛けている。韓国でのデモ活動の報道を阻止するためだ。
9月2日の抗議活動
                           9月2日の抗議活動    ピーター・ゾーラー氏が撮影した写真


全能神教会は中国最大のキリスト教系新興宗教団体であり、共産党政府は禁止している。全能神教会の信者は残忍な迫害の対象となっており、実際に拷問を受け、司法を通さずに殺害された事例を独立非政府組織(NGO)が記録している。そのため、数百名の信者が韓国に逃亡し、保護を求めている。
1ヶ月前、Bitter Winterは極秘の共産党の文書を公開した。この文書には、中国にいる信者の親族を脅迫して、強制的に韓国に連れて行き、韓国人の反カルト主義者の支援の下でデモを行うことで、韓国の全能神教会の信者を困らせる計画が詳しく記されていた。そして、8月31日、Bitter Winterはこの極秘の計画が実行に移されたと報じた。韓国人の中国寄り反カルト主義者の呉明玉(オ・ミュンオ)氏は扇動的な記事を書き、全能神教会の信者の親族を中国政府の職員とともに中国から韓国に呼び、計画に参加する反カルト主義者をキリスト教の教会で募集した。しかし、集まった反カルト主義者の人数は少なかった。そこで信憑性のある「自発的なデモ」を演出するため、呉明玉氏は現地のヤンキーに報酬と引き換えに、「プロのデモ活動家」を演じてもらわなければならなかった。

8月31日に配信したBitter Winterの記事は、中国政府の計画を糾弾し、韓国の当局に計画の阻止を求める9団体のNGOの嘆願書も掲載していた。この記事はBitter Winterで最多の閲覧数を記録し、Bitter Winterのウェブサイトへのアクセス数は1日で激増した。また、国連人種差別撤廃委員会での中国の普遍的・定期的レビュー(5年おきに国連が実施する各国の人権の状況の評価)に影響を与えるであろう、この偽のデモをBitter Winterが徹底的に取材すると発表している点も注目に値し、この評価は中国政府を神経質にしているはずである。
反応は早かった。Bitter Winterの英語版は、(初めてではないが)ハッカーの攻撃を受け、一時的にダウンした。その一方で、ソウルにある全能神教会の施設の前では暴力的なデモが行われていた。幸いにも宗教の自由ヨーロッパフォーラム(FOREF)の主事を務めるオーストリアの記者のピーター・ゾーラー(Peter Zoehrer)氏が中国での拷問の証言を集めるため、偶然ソウルの全能神教会を訪問しており、このデモ活動を目撃した。ゾーラー氏はBitter Winterに自らの体験を伝えてくれた。
9月2日午後0時30分、呉明玉氏は全能神教会の敷地に7名の信者の親族と数名の反カルト主義者、十数名の金で雇った「デモ活動家」を連れてきた。男性の集団はソウルのオンス全能神教会の入口で4つの横断幕を掲げた。さらに、現場で写真を撮影するため、手術用のマスクを着用した数名の撮影スタッフが登場した。午後1時前後、30名のデモ参加者がオンスの教会に相次いで現れ、メガホンとスピーカーを使って全能神教会と信者を大声で侮辱し、罵倒した。現場にいた目撃者によると、デモの騒音は体調不良を起こすほど大きく、法律の許容範囲を上回っていたと思われる。さらに、デモの喧騒と叫び声は現地の住民の活動を著しく妨げ、現地の教会の日曜礼拝に影響を与えていた。
拡声器を手に持ったプロのデモ活動家は、感情的な口調で全能神教会の信者に対して、教会の外に出て、親族に会って欲しいと頼んだ。その際、「お母さんが寂しがっています。お願いだから出て来て下さい」等と訴えかけていた。活動家たちは、信者が親族に会うことを全能神教会が阻止しているという印象を作ろうとしていた。しかし、実際には反対である。全能神教会は、現地の警察の協力の下、呉明玉氏と交渉し、反カルト主義者と中国政府の職員が存在せず、暴力的なデモ活動から離れた場で、内々に信者を中国から来た親族と会わせようとしていたが、この要請は却下されていた。デモは5時間以上続いた。最も熱心にスローガンを叫んでいたのは、中国から家族に会いに来た信者の親族ではなく、数名の韓国人であった。
午後3時、用事を済ませた車がオンス全能神教会に戻ってきた。車が入口で止まると、呉明玉氏はデモ活動家に車を止めるよう指示した。呉明玉氏は身振り手振りで全ての親族に集まるよう求め、金をもらって参加したプロの活動家の一人が車の前に横になり、スピーカーで大声で叫び、数名が続いた。この指示を受けた10名以上の活動家が車を全方向から取り囲んだ。活動家たちは全力で車の窓をたたき、窓を開けさせようとした。その後、活動家たちはカメラを取り出して、身動きが取れない車の車内を撮影した。呉明玉氏は激しく車を蹴っていた。呉明玉氏は他のデモの参加者に車を激しく踏みつけるよう駆り立てた。最終的に、車が教会に近づくことを許可する前に、呉明玉氏は車の運転者に対して、10名を超える抗議活動者が一人一人車内を覗き込み、同乗者を確認できるように、窓を下げるよう要求した。
幸いにも、ゾーラー氏は車が攻撃を受ける前に車外に逃げ、一部始終を撮影することに成功した。こう着状態は1時間半近くにわたって続き、車はようやく教会の駐車場に進むことができた。ゾーラー氏は外国人であり、また、記者であることを示すカードを見せたために攻撃を受けることはなかったが、全能神教会の信者は警察の護衛を受けなければならなかった。
午後5時を少し過ぎた頃、興奮した一人のデモ活動家が直接教会に侵入しようとして、全能神教会の信者に妨害された。この活動家は諦めずに侵入を試み、全能神教会のある信者が侵入を防ぐために腕を上げると、活動家は後ろに倒れ、押されたと偽って警察を呼んだ。警察が到着すると、全能神教会の代表者は、教会の監視カメラが一部始終を撮影していると説明した。監視カメラの映像により、教会に無理やり入ろうとした活動家は明らかに意図的に後方に倒れ、押されたふりをしていたことが証明された。真相が明らかになると、教会への侵入を試みた(韓国人の)活動家は慌てて証言を変え、怪我をしていないと述べ、ただ「家族を再会させたかった」と話した。
デモが行われている間、活動家たちは問題を起こすために、何度も教会に違法侵入しようとし、教会の信者は常に侵入を防がなければならなかった。
午後4時過ぎ、全能神教会側と反全能神教会側はある女性の信者と親族の再会を目指して、交渉を行った。信者、夫夫の母親は、警察に付き添われて、教会の外でデモ活動を行っていた信者の母親に会いに行った。報道によると、この信者は、母親が韓国に来る前から、母親が自分に会いに韓国に来ることを知っていたようだ。この信者は電話でソウルにいることを母親に伝え、空港に迎えに行くことができるように、直接ソウルに飛行機で来ることを望んだ。しかし、当時、母親は「集団で移動」しており、既に「誰か」が航空券を購入する手続きを手伝い、そのため、済州島を経由しなければならないと述べた。母親は娘に自由に会いにいくことができたはずだが、教会に向かって叫ぶデモ隊に参加した。そして、家族の一員が全能神教会に誘拐されたと主張し、娘との再会を要求した。これは明らかに誤りである。中国から来た一団によるその他の主張は、全能神教会の信者であり、韓国で難民認定を求める人々の主張とは矛盾していた。
9月3日、呉明玉氏は韓国大統領の官邸である青瓦台の前で抗議活動を繰り返す予定であったが、天候に恵まれず、豪雨のために抗議活動の時間が限られ、十分に注目を集めることはできなかった。
Bitter Winterは9月4日にも、韓国の別の全能神教会の施設の前で再び暴力的な抗議活動が計画されていることを把握している。
ピーター・ゾーラー氏が撮影した写真:
ゾーラー氏に写真を撮られたことに不快感を示す呉明玉氏

               ゾーラー氏に写真を撮られたことに不快感を示す呉明玉氏

難民の平和的な解決策を: 9団体の非政府組織の願いが記された横断幕

                                 難民の平和的な解決策を: 9団体の非政府組織の願いが記された横断幕


暴力的なデモ活動を撮影した動画:



李善美による報告

この文章は《BITTER WINTER》からです。

2019年7月20日土曜日

「お母さん、家に帰らない方がいい」


全能神教会の信者の息子が韓国を訪れ、海外逃亡した母親に中国に戻らないよう説いた。帰国すれば即座に逮捕されるからだ。

中国最大のキリスト教 新興宗教団体 である 全能神教会 は国内では 中国共産党 により禁じられ、暴力的な迫害を受けている。数百人の信者が保護を求めて韓国へ脱出している。
その1人に唐璐(タン・ルー)さん(安全のため、本名は公開しない)という女性がいる。彼女も、韓国に行ったからと言って見逃されたわけではない。韓国における全能神教会信者の政治的亡命の申請を妨害するため、中国共産党は脅迫などの手段を使って教会員の中国に住む親族を募っている。そして彼らを韓国に連れて行き、現地で「親族を探す」という口実のもと、デモを行っている。全能神教会信者を中国に引き戻すのが目的だ。先日、唐璐さんの息子も韓国に赴いた。しかし、政府が組織する「親族を探す団体」に属する人々とは異なり、母親に絶対に帰国しないように、と告げた。

息子からの電話

5月10日、全能神教会の信者仲間である王(ワン)さんが、中国の唐璐さんの息子から電話があり、彼女を探していることを伝えた。唐璐さんが国外逃亡以来、3年ぶりに息子から受けた連絡だった。中国共産党がインターネット、電話回線を厳しく監視しているため、唐璐さんは家族に危険が及ぶのを恐れて一度も連絡をしたことがなかったのだ。
唐璐さんは息子が詩を朗読した録音をずっと大切にしていた。彼女は家を出たときに息子の写真を持参しなかったことをBitter Winterに語った。万一通関で逮捕されたら家族を巻き込んでしまう可能性があるからだ。唐璐さんは録音だけを持ち込んだ。3年間、その音声は心中の不安を委ねられる何よりも大事な宝物だった。

母親の懸念

息子が韓国に来るという知らせに唐璐さんは驚喜した。しかしすぐに小さな不安が頭をもたげてきた。近々、韓国の中国共産党支持の活動家、呉明玉(オ・ミュンオ)氏が次の「親族を探す団体」を韓国に連れて来て、全能神教会の難民に嫌がらせをしようとしているのを知っていたからだ。息子もまた中国共産党が管理する「親族を探す団体」の一員で、彼女を無理に中国に帰らせようとするかもしれないのだ。
唐璐さんは、知り合いである熱心な信者、張福氏の事件に言及し、Bitter Winterに次のように報告した。「2016年5月18日に張福兄の妻が子どもを連れて済州島に夫を探しに行きました。彼女の旅に同行したのは中国共産党の工作員でした。工作員の命令で張さんの妻は夫をホテルに閉じ込めました。密かに旅券を抜き取り、財布、クレジットカード、全所持金70万ウォン(約65,000円)を奪いました。そして一緒に中国に帰らせようとして脅したのです。中国共産党の工作員は済州島の空港まで彼を追いかけ、強制的に中国へ誘拐しようとしたほどです。結局、張兄は間一髪で逃亡しました」。
この件を持ち出したとき、唐璐さんはまだ恐怖を引きずっていた。もし息子が中国共産党の工作員と共にやって来たら、どう対処すればいいか分からないだろう。

家族再会

5月14日の午後、唐璐さんは不安と期待の入り混じった気持ちで息子の連絡先番号を受け取った。過去数年間、中国共産党の宗教迫害がますます激しくなっていることをニュース記事で読んでいた。全能神教会は容赦なく迫害されている。亡命の道を選んだときから、再び息子に会うのは難しくなるのは分かっていた。予想に反して今、息子が外国に彼女を訪ねて来るというのだ。唐璐さんは興奮のあまり、考えるのももどかしく急いで息子の番号に電話をかけた。
「電話に出た息子は『ママ』と叫び、泣き続けました」と、唐璐さんは回想した。「胸が痛み、涙があふれました」。そして息子を慰めながら、ソウルにある全能神教会の温水の施設で会う約束をした。

「戻ってはいけない」

ついに再会し、唐璐さんは息子の韓国訪問に中国共産党は関わっていないことを知った。息子は、地元の 公安局 の 国保大隊 の職員が継続的に母親の状況を調査していることを伝えた。最近は自分を訪ねて来たという。彼らは唐璐さんの現在の居場所を追跡するため、家族の中に他に全能神信者がいないかを調べていたのだった。
「ママ、何があっても家に戻ってはいけないよ。僕はもう大人だし、自分のことは自分でできる。お母さんがここで元気でいるのを知って僕は安心したよ」と、唐璐さんの息子は言った。
息子はさらに、国保大隊勤務の友人が国外に住む全能神教会信者の情報を集める部署にいるのだと言った。その友人は韓国にいる全能神教会信者の写真を大量に保持し、その中に唐璐さんの写真もあるという。警察は既に唐璐さんの海外での状況をつかんでいた。彼女が通っている教会堂や教会でのクリスチャンネームまで知っていた。
「国内のウェブサイトに掲載されているニュースはどれも全能神教会を攻撃している。絶対に中国に帰ったらだめだよ」。息子は強く説いた。

惜別

別れの午後、唐璐さんは息子を地下鉄の駅まで送って行った。彼女は泣かなかった。2人とも笑顔を浮かべていた。息子は母親に家に戻らないように、ともう一度言い含め、家のことは自分に任せてほしいと話した。唐璐さんも、自分に会いたくなったときは韓国に来ればよいが、中国共産党に操られないように気を付け、党が組織するいわゆる「親族を探す団体」の一員として来ることがないようにと注意した。
白勝一による報告
この文章は《BITTER WINTER》からです。